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【セミナー報告】IJET-25に参加してきました。 [セミナー報告]

東京ビッグサイトで開催されたIJET-25に参加してきました。

2日間の会議に参加して、セッションを通じて先輩翻訳者の方々から受け取ったメッセージをまとめてみます。


1.「翻訳業界の未来とそのなかで翻訳者が取りうる道」
井口耕二さん

JTFが行った翻訳白書のデータをもとに、JTF総会基調講演よりもさらに細かい分析がなされ、「速度をあげることで、ある程度までは収入はあがる」が、「それ以上収入をあげるためには、レートをあげる必要がある」ことが再確認されました。

関西のSKITでも話されるようですので、直接話を聴く機会がある方は、聴かれるとよいと思います。

第9回関西通翻勉強会「SKIT」

JTFの井口さんの基調講演に関しては、前のエントリもご参照ください。

JTF基調講演を聴いてきました。

JTF基調講演を聴いてきました。その2


では、日英・英日ともレートが下がっているという市場環境の中で、「取りうる道」は何か?

ぐるぐると考えながら、「技術翻訳101」を聴講してきました。


2.「技術翻訳101」 
時國滋夫さん、佐藤エミリー綾子さん、大光明宜孝さん、田中千鶴香さん、高橋さきのさん

時國さんのお話を聞くのは、初めてでした。5名のベテラン翻訳者の方が120分で話すというタイトなスケジュールでしたが、いくつかセッションを通して私が受け取ったメッセージをまとめます。


●時國さん

・英語ネイティブの友人を持つ。
・まずは1か所でよいから、自分を大切にしてくれるソースクライアントを探す。


●佐藤エミリー綾子さん

・コミュニケーターであり、ジャーナリストであれ。
・鼻をあげなさい。原文に寄り添い、一度全てを自分に取り込む。原稿と睨めっこばかりしていないで、鼻をあげて、アウトプットする。
・コミュニケーション力が大事。対技術者、対チェッカー(対ネイティブチェッカーを含む)、対顧客であれ、コミュニケーション力が大事である。

ご自身は文系とのことでしたが、台形CSGダムの仕事をされた際のことを例にお話しくださいました。

・その分野の本を少なくとも3冊は読む。
・図書館に行く(例:国会図書館など)。
・この案件は、翻訳だけではなく、ナレーション、通訳も担当されたそうです。
・ネイティブスピーカーの知り合いを探して、コミュニケーションを図る。

・ビジュアル辞書で確認する。
Merriam-Webster Visual Dictionary Online

英文ライティングの強化方法として、パデュー大学の「ライティングラボ」をご紹介いただきました。
Purdue OWL (Online Writing Lab)


●大光明宜孝さん

・品質、速度、持続性が大事
・相性のよい顧客はいずれ見つかる。頑張って、2、3社見つける。
・実際にその分野で使われている用語、一般的な用語をきちんとおさえる。

大光明さんの作業環境をご説明いただきましたが、十人十色のYouTube、JTFジャーナルの寄稿もご参照ください。

翻訳勉強会「十人十色」辞書編: 大光明宜孝さん

JTFジャーナル


●田中千鶴香さん

・私たちは、進んでコマになろうとしている。
・ブラック化するこの国
・取り替えのきく安い労働力
・スキルを売るのではなく、心を売ろう(魂を売るのではありません)
・ロールモデルを見つけよう(三笠綱郎さんの例。三笠さんは9月にJTFでセミナーをされるそうです。企業に勤めた後、フリーランスになり、また企業に戻られた方。面白いご経歴の持ち主でした。)

1)能力の低いIT翻訳者にならない。
2)必要な能力を意識して身につける。
3)商品としての価値を考える。
4)視野を広く持つ。


●高橋さきのさん

翻訳フォーラムを井口耕二さんと共同主宰されておりますので、ぜひそちらにもご参加ください。

・逐語訳問題
・あれれアンテナ。あれれ?と思えるアンテナを持っている必要がある。
・定訳はない。
・コンテクスト次第
・辞書の向こう側
・テクニカルタームを「統一しない」スキル
Ngram Viewer

十人十色の勉強会でお話しいただいた際の動画がYouTubeにあるので、そちらもご参照ください。

翻訳勉強会「十人十色」辞書編:高橋さきのさん


5名の方のお話は、『プロが教える技術翻訳のスキル』にまとめられているので、ぜひそちらもお読みください。


3.さらば「日本語が透けて見える英語」! 
遠田和子さん

課題を事前に提出して、参加しました。

・最初の一語を安易に決めない(どの言葉を主語に置くかで、流れが決まってしまう)。
・主語、動詞、アクション、簡潔さ
・とにかく、Edit, edit, edit!
・Self-editの重要性

・「表現力」と「質」が生き残りの鍵である。
・最初の5 words。弱くないか?簡潔か?

・日本語は、ズームインしていくイメージで、英語はズームアウトしていくイメージ。
・住所の記載方法を例にとるとよい。

英訳をする際には、

・最初の一語を何にするか熟考する。
・推敲する際には、最初の5 wordsをみて、簡潔か、弱い言葉を選んでいないか?もっと的確に伝えられる単語はないか?を考える。

遠田さんの英訳セミナーは、JTFやサン・フレア アカデミーなどでも受講できるので、機会があればぜひ参加してみてください。

サン・フレア アカデミー(通信・通学)

JTFセミナー

WordSmyth英語ラボ(遠田さんのサイト)

推薦図書
Style: Toward Clarity and Grace (Chicago Guides to Writing, Editing & Publishing)


午後のセッションは、
「東京オリンピック語学サービス需要見通しとサイマルの取り組み」 藤井ゆき子さん
「原文から何を読み取るか――3歩手前から考える」 高橋さきのさん
「21世紀に求められる翻訳者の資質とは? ―さまざまな現場から語る―」 豊田憲子さん、井口耕二さん、高橋裕子さん

を聴講してきました。

最後のセッションでは、高橋裕子さんが、津田塾大学ライティングセンターを紹介されました。

関西大学ライティングラボとも連携しているようなので、関西の方は関西大学のラボを調べてみるとよいかも知れません。


先日の井口さんのJTF基調講演、今回のIJETで先輩翻訳者の方々の話を聴いた私の結論ですが、

・日本語、英語で書く力を強化して、質を上げる。
・レートをあげる。
・大切にしてくれるお客さんを探す。

ことに尽きる気がしました。

それぞれの方にとって、「とりうる道」は異なると思いますので、またどこかでお会いしましたら、みなさんの意見も聴かせてください。

プログラムに★がついているセッションは後日アーカイブされると思うので、楽しみです。

IJETプレイベント、IJET-24(ハワイ)、IJET-23(広島)、TACなどのビデオもJATのサイトでアーカイブされていると思うので、参考にしたいと思います。


地道にこつこつやるしかないと思いますので、頑張りましょう。

IJET実行委員会のみなさん、ありがとうございました。


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